晴れの朝はここが定位置です。
世界ネコ歩きで有名な動物写真家の岩合光昭さんが、雑誌のインタビューか何かで「老いたメス猫が一番かわいい」てな感じのことを言われておりました。まさにその通りです。
我が家の愛猫「大福」も年をとり、もうかつてのように元気に外を走り回ったり遊んだりすることはありません。でも年々人懐っこく、めんどくさく、可愛くなっていきます。
見てください。この趣深い表情。若猫に出せるものではありません。
帰ってきたヨッシー猫川柳
「朝が来た いつもの場所に 猫がいる」
【解説】
一見するとこの句は、何の変哲もない平凡な日常の一コマに過ぎない。「ふ~ん、で?」と言ってしまえばそれまでの出来事である。
しかし考えてみて欲しい。猫とは気まぐれな生き物だ。「いつもの場所に猫がいる」ということは、何らかの意図を持ってそこにいるということだ。ただそこにいるのではない。そこにいることに意味があるのだ。そうして読み解くと「猫がいる」という言葉に作者の感情的なニュアンスを見てとれる。
さらにこの句を正しく理解するには「変わり映えない日常でも確実に変化している」という前提認識が必要となる。
すべてはかけがえのない出来事だ。繰り返される「朝」も一度として同じ朝ではない。今日もまた君に会えた。あと何度君に会えるだろう。そうやって一つ一つを慈しむように生きることが、この世界の在り方を変えていく。
あなたは今の暮らしに満足しているだろうか。何気ない日常を大切に思う心のゆとりを持てているだろうか。「猫」という愛くるしい生き物がその象徴として扱われている。
この句は読む者に心の豊かさを問いかけ、それを映す鏡である。